楽しい × ラク × 継続しやすい英語リスニングを鍛えるイマージョン学習法とは

Aug 29, 2024

読了目安時間:10分

英語のリスニング力を上げたいけれど、たくさん方法があって何から手をつけていいか分かりません。

英語学習において、リーディングやライティングに比べ、日本人はスピーキングとともにリスニングが苦手な人がとても多いと言われています。まず、日本人にとって英語が上手く聞きとれない悩みとしてよく挙げられるのが、

  • ネイティブの英語のスピードが速すぎる
  • 英語独自の音が聞こえない、発音が分からない
  • 会話に出てくる英単語が分からない

といったものです。これらについてすでに様々な分析やメソッドが紹介されていますが、私たちがおすすめするのは、リスニング力の向上に強く推奨されている、かつ最もシンプルな方法でもある「イマージョン学習法」です。そこで、この記事では、イマージョン学習を通して上記のお悩みにどう対処していくか?どのようにリスニング力を鍛えていくか?を解説していきます。


目次


そもそもネイティブ英語のリスニング量が圧倒的に足りていない

日本人のみなさんは、これまで少なくとも中学、高校と6年間は英語を勉強されてきたと思います。しかし、そのほとんどの時間が文法やリーディング、ライティングに費やされ、リスニングやスピーキングの時間は圧倒的に少なかったのではないでしょうか? しかも、その数少ないリスニングの時間もきっと教材の音声などを聞くことが多く、ネイティブがナチュラルスピードで現実社会で話す英語のリスニングはほとんどされてこなかったと思います。ですからある意味ネイティブの話す英語が早すぎる、全然聞き取れない、彼らが使う単語が分からない、というのは当然のことなのです。そこにまず気づいていただきたいと思います。


大量のインプットでリスニング力がどんどん伸びるイマージョン学習法

そこで、リスニング力を向上させる方法として私たちがおすすめするのは、大量の英語インプットを行うイマージョン学習法です。イマージョン学習法とは、学習者が日常生活の中でターゲット言語に触れる機会を圧倒的に増やすことで、子供が言語を習得するようにターゲット言語を身につけていくメソッドになります。イマージョン学習法自体は、リスニング専用の学習法という訳ではありませんが、英語習得の中で最も重要なステップでありながら、日本人に圧倒的に足りていないと言われているインプット(特にリスニング)を主軸にしているため、必然的にリスニング力を伸ばすことができます。この方法は、第二言語習得理論の著名な研究者として知られるスティーブン・クラッシェンの「インプット仮説」に基づいており、この理論に沿ってターゲット言語を大量にインプットしていくことで、効果的に言語を習得できると言われています。この仮説は最近登場した魔法のようなものではなく、80年代に提唱されてからいまだに応用言語学において中核となっている理論です。もちろんその後、インプット仮説を補完する理論(例えばアウトプット仮説など)も登場しましたが、このインプット仮説は依然として論破されていません。

イマージョン学習でおすすめする基本的なインプットの方法としては、主に学習向けではない、自然な英語を話すネイティブの動画(Youtubeや海外ドラマなど)の視聴で英語インプットを行います。まず字幕無しで視聴し、必要な場合は英語字幕も活用しながら出来るだけ毎日最低1時間以上行うことを推奨しています。

(英語インプットの具体的な方法やイマージョン学習について詳しく知りたい方はこちら


英語リスニングにおけるお悩みの対処法


悩み1:ネイティブの英語のスピードが速すぎる

まず1つに、前述したように日本人の英語学習者のほとんどは、ネイティブが日常的に話す英語に慣れていません。日本人向けのリスニング教材は、発音がとても綺麗でスピードも程よく、そして内容も聞き取りやすいものが多いです。もちろん効果がゼロではありませんが、そういった教材でたくさんリスニングを行っても、実際にネイティブと会話した途端、全く聞き取れなくなる、といったことはよくあることです。この問題に関する対処法として、これからはネイティブが実際にナチュラルスピードで会話している動画を使ってリスニングを行っていきましょう。ネイティブのナチュラルな英語を大量にインプットしていくことで、速さだけでなくリズムやイントネーションなど、英語の音自体に慣れていくことができます。

そしてもう1つ、英語を一語一語きっちり聞き取ろうとすることで、スピードについていけず、内容が分からなくなるという場合もあると思います。リスニング初心者の場合は、単語1つ1つに集中せず、まずはどんな内容・テーマを話しているのか? その会話の重要なメッセージは何か?といった要点を掴むことから始めましょう。ネイティブの英語に慣れ、リスニング力が向上するにつれて、聞こえてくる単語は自然と多くなっていきます。効果的なリスニング方法は後述します。


悩み2:英語独自の音が聞こえない、発音が分からない

こちらも悩み1と同じことが言えますが、まず第一にネイティブの英語を大量に耳からインプットし、英語の音自体に慣れることが必要です。特によく聞こえないと感じる箇所は何度も繰り返し聞きましょう。

次に、英語には、日本語にはない音が存在したり、文章になることで本来の単語とは違った発音になったり、省略されたり、と特殊な発音の仕組みがあります。そのため、英語の発音とはどんなものか?その仕組みや発音記号などを勉強するのも一つの手です。日本語の感覚のまま英語を聞こうとすると、聞こえないと感じることも多々ありますので、どうしても聞き取れないと感じる方は、一度発音の知識を得ることでまた違った音の捉え方ができるようになると思います。必須ではありませんが、発音に苦戦されている方は、たくさん時間をかけなくて良いので少し勉強してみるのもおすすめです。

最後の一つは、自分で発音してみることです。ネイティブ英語の動画などで、難しい発音のフレーズに出会った時に、動画を止めて何度も復唱してみましょう。(その際、英語字幕があるといいですね!)自分で実際に声に出してみる、何度もその発音を練習してみることで、次に聞く時はかなり聞こえやすくなるはずです。


悩み3:会話に出てくる英単語が分からない

一口に英単語が分からないといっても、学習者の英語レベルによって対処の仕方は変わってきます。まず、基本的な単語も分からない超初心者〜初心者の方の場合は、単語アプリなどを活用し、覚えるべき基本の英単語1000〜2000といったものを先に覚えてしまうのも良いでしょう。但し、この方法はいわゆる文脈を無視した暗記法なので永遠とは続けないこと。イマージョン学習では、センテンスマイニングによる単語の暗記をおすすめしています。日々英語の動画の視聴でインプットを行っていく中で、新しく出会った単語や気になった単語を拾って覚えていく方法です。(センテンスマイニング自体は元々、センテンス=文章自体を切り取り覚えていくことですが、その単語バージョンになります)知らない単語全てを拾う必要はなく、気になった単語だけでいいので、リストアップしておきます。単語がある程度溜まってきたら、自分が覚えたい単語を登録できる「Anki」アプリあるいはお好みのアプリを使って暗記していきましょう。

このセンテンスマイニングによる英単語の暗記方法には、通常の単語帳や単語アプリにはないメリットがあります。まず、自分が覚えたい単語を覚えられること。次に実際にネイティブがリアルに使っている単語を覚えられること。そして、動画のテーマやストーリーの中で単語がどのように使われているか文脈の中で知ることができるので、イメージしやすく覚えやすいということです。初心者でも忍耐力に自信があるという方は、前述した基本の単語1000〜2000を暗記せず、初めからイマージョン学習で文脈の中から単語を拾っていき、Ankiアプリで覚えていく方法にチャレンジするのも良いでしょう。中級者以上の方は、最初の大変なフェーズは超えたもののボキャブラリーの在庫をどんどん増やしていかなければならない段階ですので、ぜひ日々のインプットでリスニングを鍛えながらセンテンスマイニングにトライしていただきたいと思います。


リスニング力を効果的に高めるインプットのコツ


1:ただ英語を聞き流すのはNG

大量の英語インプットといってももちろん「英語の聞き流し」では、ほとんど意味がありません。私たちがおすすめするイマージョン学習では、「自由的イマージョン」や「集中的なアクティブイマージョン」といったインプット方法をいくつか提案していますが、いずれも意識的に英語を聞き取ることが必須になります。

「集中的なアクティブイマージョン」は、先ほどご紹介したセンテンスマイニングを含むインプット方法で、分からない単語や気になった単語があったら動画を止め、英語字幕も活用しながら単語をリストアップしていきます(どうしても気になる場合はその場で意味を調べてもOK)。基本的にはこの後の2でご紹介する「理解可能なインプット」に沿った内容のコンテンツを推奨しますが、初心者の方は、知っている英単語の在庫が少なく、英語の知識もまだ乏しいので、コンテンツの選択肢が限られていることも多いと思います。その場合、毎日のインプットは「集中的なアクティブイマージョン」をメインに行い、Ankiアプリなどで英単語の暗記にしっかりと取り組んでいくと良いでしょう。


2:理解可能なインプットを行う

イマージョン学習では、Youtubeなどの動画視聴による英語インプットを行いますが、もしその内容が全く理解できないレベルのコンテンツの場合は注意が必要です。スティーブン・クラッシェンの「インプット仮説」では、「理解可能なインプット」が重要だと述べており、視聴するコンテンツの内容が大方理解できるが、学習者のレベルよりもほんの少し難しいと感じる内容(知らない単語や表現がいくつかある程度)をインプットすることが学習の効果を高めるとされています。つまり「理解可能なインプット」であれば、新しく入ってくる情報(まだ知らない単語やフレーズ)が少ないため、混乱しにくく集中しやすいということです。イマージョン学習での英語インプットに慣れてきたら、時には自分が視聴したいと思う少しレベルが高いものに挑戦するのもOKですが、原則としてはこの「理解可能なインプット」のルールを覚えておいてください。


3:楽しく継続できるコンテンツを選ぶ

リスニング力を鍛えるためには、とにかく耳からの英語インプットを毎日続けることが重要です。しかし、英語学習全体にも言えることですが「毎日英語の勉強をするのが苦痛」「結局続かなくてやめてしまった」と挫折する人が多いのも事実です。

イマージョン学習の大きなメリットは、つまらない教材を使う必要がなく、自分でインプットするコンテンツを選べること。好きなテーマやお気に入りの海外Youtuberの動画など、興味のある動画で学習できます。初心者の場合、最初は英語の子供向け番組などの視聴からスタートしますので、少々忍耐が必要ですが、続けていくほどコンテンツ選びの制限がなくなっていきますので、単純に好きな動画を英語で視聴する楽しい時間となっていくでしょう。興味関心の高いコンテンツは、吸収したいという意欲も高く、記憶にも残りやすくなります。ぜひあなたが知りたい、見たい、聞きたいと思うコンテンツで英語インプットに取り組んでください。


まとめ

今回はイマージョン学習を通して、リスニング力を鍛えるコツについてご紹介しました。イマージョン学習の最初のフェーズはハードだと感じるかもしれません。しかしそれは「今は全てにおいてレベルが低いから当然だ」と受け入れることで少し気持ちが楽になります。この時期は、集中的なアクティブイマージョンの時間を増やし、英語字幕も使って分からないフレーズや英文法も調べてみましょう。そして同じコンテンツも繰り返し視聴してみましょう(但し、永遠と繰り返さないこと。自分を飽きさせないことも重要です)。きっとリスニング力とともに、英語レベル自体も驚くほど向上していくはずです。

リスニング力の向上には、様々なテクニックやコツがあるので、興味があれば試してみるのもいいと思いますが、結局は英語の音そのものに“慣れる”のが一番です。リスニング力を鍛えたい!という方はぜひ、イマージョン学習での英語インプットを試してみてください。


CHADSとは

私たちCHADSは、英語コミュニケーション習得ツールを提供するスタートアップ企業であり、第二言語として英語を習得のために必要な取り組み方を解説したビデオ学習コースや効率的な学習法を提供しています。

私たちのアプローチは、

  • イマージョン(英語のインプット法)
  • アウトプットのキャリブレーション(インプットとアウトプットのバランス)
  • ソーシャルダイナミクス(英語を使ったコミュニケーション法)

の3つの柱に基づいています。

私たちは英語が自分の思い描く生活のための効果的で実用的なツールとなるように、学問の枠を超えて言語を理解することを中心に取り組みます。

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