英語学習はなぜ挫折する?応用言語学が明かす継続の秘訣は「楽しさ」にアリ
Dec 15, 2024読了目安時間:15分
英語が話せるようになりたい!と人生で何度も英語学習に挑戦していますが、いつも続かず途中で挫折してしまいます
これは英語習得を目指している人なら誰もが一度は経験があることではないでしょうか。英語習得は長い道のりなので、「継続」が何よりも大事なことは分かってはいるものの、学習者にとって大きな課題の一つだと思います。そこでこの記事では応用言語学に基づいた継続の秘訣やおすすめの英語学習法、習慣化のコツなどをご紹介します。
目次
- 英語学習はなぜ続かないのか?
- 継続の秘訣① 英語学習の目的をしっかりと見極める
- 継続の秘訣②「〜で英語ペラペラに」といったテクニックに惑わされない
- 継続の秘訣③ 英語学習の正しいステップを知る
- 継続の秘訣④ 生活を英語環境に切り替える(英語イマージョン)
- 継続の秘訣⑤ 集中的な英語学習は習慣化させる
- 継続の秘訣⑥ 英語学習に「楽しさ」を取り入れる
- まとめ
- CHADSとは
英語学習はなぜ続かないのか?
社会人になってから再度英語学習に挑戦する人は非常に多くいます。しかし、自分が思い描くように英語がスムーズに話せるようになるまで続けられる人は一体どれくらいいるのでしょうか。英語学習の調査でも「約8割の人が3ヶ月以内に挫折する」といった結果をよく見かけます。(参考資料)
理由としては、
- 理由1:目的を見失い、モチベーションが下がってしまった
- 理由2:最適な英語学習法が分からなかった
- 理由3:定期的に時間が捻出できず、習慣にならなかった
- 理由4:英語学習が楽しくなく、ツライまたは飽きてしまった
といったものがよく挙げられます。心当たりがある人もきっと多いでしょう。
英語学習は様々な要素が複雑に絡み合っていますので、よほどコツコツと勉強し続けるのが得意な人でない限り、やみくもに学習をスタートしても挫折してしまうのは当然なのです。結局のところ、英語学習のようなある程度長期的な取り組みが必要なチャレンジには「いかに継続させるか?」についても、学習とセットで真剣に考える必要があります。
以降で上記の挫折してしまう理由の対処法とともに継続の秘訣をお伝えしていきます。
継続の秘訣① 英語学習の目的をしっかりと見極める
例えば、外資系企業に就職したい、海外に移住することが決まっている、仕事で英語を使う必要がある、など、明確な目的、特に生活する上で必要に迫られている場合などは、英語学習も継続しやすく、達成しやすいのは想像がつきますよね。では、特に英語習得がマストな状況ではないけれど、「英語を話せるようになりたい」「映画や海外ドラマを字幕なしで観たい」といった、より個人的な願望や目的の場合はどうでしょうか。その英語習得への情熱の度合いによっては、もしかするといずれ訪れるモチベーションのアップダウンや学習のつまづきの際に、「面倒になってきたな」「やっぱり難しいな」「仕事が忙しいから無理だ」等といった気持ちに負けてしまうかもしれません。
ではどうしたらいいのか? もしあなたが今「英語を話せるようになりたい」という目的があるとしたら、その目的についてもっと深く掘り下げてみましょう。以下はあくまでも一つのやり方ですが、自問を何度か繰り返すエクササイズもおすすめです。
- 1.なぜ英語を話せるようになりたいのか? → 〇〇したいから
- 2.なぜ〇〇したいのか? → △△だと思うから。
- 3.なぜ △△だと思うのか? → ◇◇だから。
- ・・・・何度か繰り返す
これは、自分の考えや行動の背後にある根本的な理由を探るラダリングというテクニックになりますが、このように英語習得への情熱を深く掘り下げることによって、自分にとって英語習得にどのような価値や意義があるか、が見えてきます。あなたが英語習得に挑むその深い理由を見極めることで学習中のモチベーションに多少のアップダウンがあっても「私は〇〇のためにやっている」と自分を勇気づけることができ、挫折しにくくなるはずです。英語習得への情熱を深掘りできていない人はぜひ一度、自分に問いかけてみてください。
継続の秘訣②「〜で英語ペラペラに」といったテクニックに惑わされない
秘訣①とも密接に関係しますが、英語習得は軽い気持ちで達成できるものではありません。なので「カタカナで英語の発音をマスターしよう」、「3ヶ月でペラペラになろう」、「〇〇フレーズで英語をマスターする」といった謳い文句に釣られて始めても、うまくいかないことがほとんどです。そういったものは補助的な知識は得られるかもしれませんが、言語はマニュアル通りにはいかないため、ほとんどの人が習得レベルには至らず途中で挫折してしまうでしょう。
言語学者や独学でマスターした言語学習者の多くが認めている方法は、「大量のインプット+補助的な勉強+アウトプットで整える」です。残念ながらそれには時間がかかりますが、その長い道のりを楽しめる方法もあるので、即効性を求めずに長期的に楽しみながら取り組んでいくことが大切です。
継続の秘訣③ 英語学習の正しいステップを知る
いざ改めて英語学習を始めよう、と思ったら何から始めるか? 文法を忘れてしまったから、文法をとりあえずやろう。単語力が弱いから単語の暗記をしよう。とにかく話せるようになりたいからオンライン英会話をやってみようと、やれることは色々とあると思います。ただ、多くの選択肢があるがゆえに、今の自分にとって必要な学習は何か? 本当にこの学習は最適な方法なのか?本当に話せるようになるのか? と迷ったり不安に思う人も多いでしょう。
実はこれだけ日本で英語学習の文化が根付いていても、英語習得までの正しいロードマップをきちんと理解している人はそう多くありません。もしあなたがテストのためではなく世界中の人と交流するためのコミュニケーションツールとして英語習得を本気で目指すなら、応用言語学で推奨されている以下の正しいステップで取り組みましょう。
- Step.1 基礎の勉強‥‥文法や単語の暗記など(主に学生時代に勉強した内容)
- Step.2 インプット‥‥ネイティブが日常で使うリアルな英語のリスニングやリーディング
- Step.3 アウトプット‥‥ライティングや英会話でのスピーキング、独り言英語などのアウトプット
- Step.4 ソーシャルダイナミクス‥‥「同じ文化の人々が互いにコミュニケーションをとる際に根本にあるルール」の理解
英語初心者はまず、Step.1 の基礎勉強から始めましょう。初心者より上のレベルの人は、Step.2のインプットやStep.3のアウトプットを行いながら、補助役として「勉強(英単語の暗記など)」をプラスしていきます。
ちなみに、従来の日本人の英語学習は、学生時代に「Step.1 基礎の勉強」を行いますが、ネイティブがリアルに使う英語のインプット(Step.2)をほとんど行っていません。インプットが十分でない内に、「Step.3 アウトプット」を始めてしまう人が非常に多い状況です。オンライン英会話などを始めても、成果をあまり感じられずやめてしまう人が多いのも、このインプットが圧倒的に足りていないのが原因です。
上記の正しいステップに沿って具体的にどのように学習を進めればいいのか? 英語習得の正しいロードマップについての詳細を知りたい方はこちらを参考にしてください。
継続の秘訣④ 生活を英語環境に切り替える(英語イマージョン)
「本気で英語を習得したい」「だからなんと英語学習を継続させたい」と考えているのならば、週に1回のオンライン英会話、毎日30分の英語学習といったような取り組み方ではなく、生活そのものをできるだけ英語環境に切り替えて、英語漬け(英語イマージョン)にすることです。以下の2つを参考にぜひ実践してみてください。
- よく「英語を勉強する時間がない」といった声を聞きますが、毎日あなたは、スマホやタブレット、パソコンで、YouTubeやNetflixの視聴、SNSを延々とスクロール、ゲームといったことに多くの時間を費やしていないでしょうか?もしそうならば、その時間をぜひ英語学習の時間に当ててください。あなたが思っている以上に意外と時間はあるものです。
- 上記のようなコンテンツは、母国語ではなく思い切って全て英語に変えましょう。英語で検索して英語で視聴する。あなたの趣味や興味のあることを英語でぜひ検索してみましょう。今日から、YouTubeやNetflix、SNSの視聴、Google検索も全て英語にする、つまり、自分の環境の全てを英語に切り替えると、日本にいながらでも英語イマージョン(英語漬け)の環境になります。
継続の秘訣⑤ 集中的な英語学習は習慣化させる
前述のように日々の生活そのものを英語イマージョン化させることは非常に重要ですが、それにプラスして、英単語の暗記や英文法の勉強、あるいはセンテンスマイニングを行う集中的なアクティブイマージョンなど、特に集中力を要する「勉強」の継続には、習慣化させる工夫が必要です。
習慣化の秘訣は「いつ、どこで、どのように、何をどれくらいやるか?」を明確にすること。この中で一つでも曖昧なものがあると、今日は「いつやろうか?」「どこでやろうか?」「どれくらいやろうか?」と、英語に取り組もうとする度に脳は意思決定をしなくてはならないため、とても面倒になり結果的に挫折しやすくなります。
あなたにも「空いている時間にやろうと思ったけど、もう夜になってしまった。疲れてやる気がしないな」「結局できない日が続いて、そのまま学習をやめてしまった」といった経験はないでしょうか? 些細な決め事のように聞こえるかもしれませんが、「いつ、どこで、どのように、何をどれくらいやるか?」を明確にすることは、習慣化において非常に重要なポイントです。
まずは、日々の中で英語学習に当てられる時間をリストアップしてみましょう。朝食の時間、通勤の時間、お昼休み、夕食後などあなたが無理なく取り入れやすいと思うタイミングにしてください。それから、どこで、どのように、何をどれくらいやるか、を決めましょう。ちなみに一般的には、朝の時間帯はエネルギー量も高く、時間も調整しやすいため習慣化しやすいと言われています。
継続の秘訣⑥ 英語学習に「楽しさ」を取り入れる
応用言語学における著名な研究者、スティーブン・クラッシェンの「アフェクティブ・フィルター仮説」では、学習者の感情的な要因が言語習得に重要な役割を果たすと強調しています。例えば、学習者が学習に対して楽しさを感じたり、積極的であったり、リラックスしていたりすると、フィルターが「低い」状態になっているため、ターゲット言語のインプットがスムーズに脳に取り込まれると言います。
逆に学習者のモチベーションが低かったり、不安を感じていたりするとフィルターは「高い」状態になり、理解可能なインプットが脳に届きにくくなるため、言語習得が阻害されると主張しています。
もし今あなたが取り組んでいる英語学習がつまらない、キツイと感じていたら一度リセットして内容を見直しましょう。あなたが楽しく取り組める内容に切り替えたり、学習仲間を作ってモチベーションを高める環境を作るのもおすすめです。
最後に、継続しやすい英語学習として「イマージョン学習法」をご紹介したいと思います。イマージョン学習法とは、子供が言語を習得するようにターゲット言語(英語)を身につけていく、要は日常生活の中で大量に英語に触れ、まさに英語漬けにしていくことをコンセプトとした学習法です。大量に英語に触れるという点で、主に前述の継続の秘訣②でご紹介した「Step.2 インプット」、「Step.3 アウトプット」にあたります。
そして、継続しやすい英語学習法としてイマージョンをおすすめするポイントは、特に「Step.2 インプット」において、
- いつでもどこでもできるため習慣にしやすい
- 自分で好きな英語コンテンツを選ぶことができる
という点です。
英語のインプットは、一人で取り組むことができ、必ずしも机に向かって行う必要はありません。耳と意識(集中力)を傾けるだけなので、学習タイムはもちろん隙間時間でも行えます。そのため、1日の中で英語のインプット量を増やしやすいのも利点です。
そして何よりものメリットは、インプットを行う英語コンテンツは自分の好みに合わせて選ぶことができることです。海外の気になるYoutube番組やドラマ、映画などを使って行うことができます。堅苦しい教材ではなく、自分が興味のある、楽しいと思う英語コンテンツで学習できるので、「つまらない」「ツライ」という理由で挫折することはありません。
但し、あなたの英語レベルに合った「理解可能なインプット」ができる英語コンテンツを選ぶようにしましょう。理解可能なインプットとは、字幕なしのリスニングのみで英語コンテンツの内容の大半が理解でき、少し分からない箇所がある程度の内容をインプットすることです。そうすることでスムーズかつ効果的に脳へ英語をインプットしていくことができます。
初心者の場合は、比較的優しいレベルの子供向け番組からスタートすると良いでしょう。CHADSが主催する日本初のオンライン英語イマージョンクラブでは、大人の初心者も楽しく視聴できるイマージョン用動画を豊富に用意しています。子供向け番組を見るのがツライという方や仲間と一緒に楽しみながらイマージョン学習に取り組みたいという方は、ぜひ「CHADS イマージョンネットワーク」もチェックしてみてください。
まとめ
今回は英語学習にチャレンジする多くの方が課題と感じている「継続」についてご紹介しました。これから改めて英語学習を始める方は、ぜひ今回のポイントや秘訣を参考に学習計画を立ててみてください。
すでに英語学習を始めていて継続の難しさを感じている方は現在の状況を踏まえて、必要なポイントを取り入れてみましょう。そして、何よりも英語習得への情熱とともに、楽しんで取り組んでいくことを忘れないでください。応援しています。
CHADSとは
私たちCHADSは、英語コミュニケーション習得ツールを提供するスタートアップ企業であり、第二言語として英語を習得のために必要な取り組み方を解説したビデオ学習コースや効率的な学習法を提供しています。
私たちのアプローチは、
- イマージョン(英語のインプット法)
- アウトプットのキャリブレーション(インプットとアウトプットのバランス)
- ソーシャルダイナミクス(英語を使ったコミュニケーション法)
の3つの柱に基づいています。
私たちは英語が自分の思い描く生活のための効果的で実用的なツールとなるように、学問の枠を超えて言語を理解することを中心に取り組みます。